勝手に好きな人気絵師を解説してみた : 古塔つみ

僕は自分のSNSを好きなイラストや作品で埋め尽くすのが好きだ。もちろんどの方も自分が気に入ってフォローした絵師や作家さんばかりなのだけれど、時折さらに異彩の魅力を放つイラストに出会うことがある。そんな今人気で活躍の目覚ましい絵師さんを元アーティスト目線で勝手に解説したいと思います!

多様な輝きを写しとる絵師 / 古塔つみ

印象的な目、触れれそうな肌、未来の光を見据えるその表情。様々な形容にいとまがない女性がこちらを見ている。この絵を描いたのが古塔つみさん。最近では、YOASOBIのキービジュアルを描いているのも有名です。

「あっ、女子しか描けません。すてきな人しか描けません。」

という、キャチコピーで活動をしており、男性を描かなくてはならない仕事は女性化させたり、どうしても無理な時はその仕事を断ってしまうこともあるといます。徹底してますよね。でもイラストレーターとして仕事の幅を下手したら狭めてしまいかねない制限を設けて活動するのは何故なのでしょうか?
古塔さんはインタビューの中で

女の子のイラストを描く方が簡単に感じたから。個人的には男性の筋肉を描き込むより、柔らかい線で表現できる女子の方が描きやすくて。描く技術を上達させるために、女子だけを描き続けた方が近道だなと思ったんです。

FASHIONSNAP.COM 「10代女性から注目を集めるイラストレーター古塔つみとは何者か?」

と語っています。つまり得意であったということですね。単純に技術的な問題での選択。確かに絵を修練する際にヌードデッサンをやらされますが、男性のヌードデッサンの割合は少ないです。それは恐らく古塔さんの理由と同じく、描きやすいというものあります。物体をその物体らしく描く際に凹凸が大きい方が描きやすい傾向にあるのです。

表現の形態を絞ることで想像の幅を拡げる

私は「女子だけ」を描くことでむしろ、多様性を表していきたいんです。

FASHIONSNAP.COM 「10代女性から注目を集めるイラストレーター古塔つみとは何者か?」

こちらについてはかなり深い理由ですね。表現の形態を絞ることで想像の幅を拡げているということになると思います。この手法は、様々なアートでも使用されており、シンプルが故にストレートに多種多様な事を表現することを意図していると思います。

例えば、河原温さんというアーティストは、today seriseという、日付だけが描かれた絵画を発表しています。そうすることで、その日何が起こったか等の歴史的な事柄が想像され、ただの日付の絵画の中にその膨大な時間や出来事が巻き込まれていきます。古塔さんの場合は女子のみしか描かない、ただその描き方を非常に多様にすることによって現代女性の多様性を表現していると言えます。またこれについてはフェミニズム観点からも、女性というのは見られる対象であるという批判的な意見もあり、そのような社会状況のなか「すてきな女性」しか描かないというのは画一的な女性への視線へのアンチテーゼとも読み取れます。

作品以外の情報を削ぎ落とす

また古塔さんは性別、年齢も公表しておらず、その理由については作品以外の情報をそぎ落としたいという意図があるようです。かなりストイックな理由ですよね。また、

「わかりづらくしたい」という気持ちもありますね。

Real Sound “YOASOBIキービジュアルで話題! イラストレーター古塔つみが語る、“わかりやすさ”へのアンチテーゼ”

とも語っています。これもかなり興味深い発言ですよね。伝えたいことを伝えようとしすぎて説明してしまう作品は想像力を引き出せないのです。先程の河原温さんの作品にその日に起きた事が克明に記載されていたらそれはただの新聞となってしまい、想像力にて引き出されたものではなくなってしまいます。ここがアートをわかりにくくさせているところであり、一番面白いところですよね。

すてきを描くということ

先の説明からも、古塔さんがとにかく絵が上手くなりたい、という衝動で制作活動を行なっているのは分かったのですだ、ただそれはどううまくなりたいのだろう?もう充分に上手じゃないか!と思われる方も多いかもしれません。

「自分の為に」というのは「もっと絵が上手くなりたい」という根本的なこと。平たく言ってしまえば「描く数を重ねていく」というだけなのかもしれません。そう言う意味ではエゴは出にくいかなと。

FASHIONSNAP.COM 「10代女性から注目を集めるイラストレーター古塔つみとは何者か?」

ここの発言にも古塔さんの制作に対する、非常に重要なポイントが隠されていると思います。エゴが出にくい。これは自分が描きたいものを描くというスタンツではなく、表現したいものがあり、それを捉えるために絵を上手くなりたい、と言ってるようにとらえました。

そこには現代の多様性を肯定しながらもその荒波を超えていくべき光を求めるあくなき探究心があるように思います。
様々な生き方を選べる現代では、ますます選択の重要性が増していきます。少ない情報での選択でミスると情弱と揶揄され、ひとつ選択すると次々と次の選択肢が生まれる現代。そんな状況の中あえて情報をそぎ落とし、デメリットも厭わない選択をすることに彼女は光を見ているのではないだろうかとおもいます。

当然、表情は大事にしています。モデルは主にTwitterやInstagramで探しているんですが、強い意思を感じる子にお願いすることが多いですね。

Real Sound “YOASOBIキービジュアルで話題! イラストレーター古塔つみが語る、“わかりやすさ”へのアンチテーゼ”

きっと、古塔さんが強い意志を感じる女子の中にある”すてき”は、目の前にいる個人的なものだけでなく、現代広く多くの人が共有できるはずの”すてき”なのだと古塔さんは信じているんじゃないかな、と思います。

YOASOBIのキービジュアルを描いたり、個展や画集発売したりと活躍の幅をますます広げる古塔さん、もし気になったらフォローしてくださいね!

TW : @cotoh_tsumi
IG : cotoh tsumi

またこちらから古塔さんの画集も買えます!

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