勝手に好きな人気絵師を紹介してみた : ダイスケリチャード

僕は自分のSNSを好きなイラストや作品で埋め尽くすのが好きだ。もちろんどの方も自分が気に入ってフォローした絵師や作家さんばかりなのだけれど、時折さらに異彩の魅力を放つイラストに出会うことがある。そんな今人気で活躍の目覚ましい、僕の好きな絵師さんを勝手に紹介したいと思います!

視線なきサイバー空間で音を奏でる絵師 / ダイスケリチャード

ほぼ全ての絵が、顔が隠れる構図で描かれている。これがダイスケリチャードさんの特徴だ。顔が絶妙に見えない角度やポーズで描かれる人物は表情を伺うことができないことで、感情が読み取られるのを拒んでいるように見える。だが、不思議と冷たい感じはしない。むしろ爽快感すら感じる。

その秘密はまずは構図にあると思う。うまい。うますぎる。少し斜め上や斜め下、正確なデッサン力により自在にカメラワークを動かし、その視点により表情の読めない人物の感情をうまく示唆している。そもそも斜め上や斜め下といった構図はデッサンをやる上で高度な技術が必要になる。もちろんそんな技術を手に入れるのには一筋縄ではいかない努力が必要だと思うのだが、いとも簡単にやってのけているように見える。

「顔」って人物の絵の中で一番キャッチーで面白いところでもあるんですけど、同時に一番難しいところでもあるじゃないですか。目の微妙な大きさの違いであったり、ちょっとした口元の角度や表情の機微であったり……そういうことが何だか面倒くさくなってしまって「じゃあもう顔描かなくてもいいや」という少し後ろ向きな理由から生まれたスタイルなんです。

音楽とともに進化するイラスト表現 三月のパンタシア描くダイスケリチャード インタビュー
https://kai-you.net/article/62809

以前のインタービューでダイスケリチャードさんはこう語っているが、僕はここで勝手な憶測したくなる。これはつまり顔を描かなくても(むしろ書かない方が)自分のオリジナリティーを表現できるかな、と思ったのかなと。彼の持ち味は顔の美醜や好み、感情を表現する方向にそもそも向いていなかったのではと感じる。そしてそれはかなり切れ味の良い選択だったと思う。それにより人物への感情移入を排し、構図、色、空気感をより感じれる構造になっていると思う。

また、人物のポーズと周囲に配された幾何学模様や小物。このバランスにより自在に絵の中の重力を操る。重力は単純に言うと「重く感じる」と言う点により感情に密接に関係してると思う。それが軽くなったり重くなったりすることで、顔の描かれない女の子の感情は示唆され、絵を見た僕らは感情を自由に想像することができる。表情が描かれないからこその自由な想像。だが、その想像の出発点はまたモチーフの組み合わせや状況によって少しだけ日常から逸脱するように慎重に配されていることで無意識に明示されており、僕らは絵の中の空間に実在的な想像力を持ち込むことができより具体性を持ってどっぷり浸かることができるのだ。

音を奏でるイラスト

また、彼の絵は音楽との関係も密接だなと感じる。浮遊した空間に響き渡る澄んだ音。もちろん楽器そのものをモチーフとするものもあれば、人物そのものが音を鳴らす何かになっていたりと。実際彼のイラストレーターとしてのキャリアは三月のパンタシアの「青春なんていらないわ」のMVを担当することでスタートしている。また、彼の軽やかなタッチも音を感じさせるのに一役買っていると思う。

僕はもともと趣味でイラストを描き始めたので、これで生計を立てることは当初まったく考えていませんでした。だから、「自分のやりたくないことはやらない」というスタンスでやっていたんですね。

音楽とともに進化するイラスト表現 三月のパンタシア描くダイスケリチャード インタビュー
https://kai-you.net/article/62809

「面倒臭いことはやらない」と決めたきっかけのひとつがiPadでもあるんです。先ほどお話したレイヤーの枚数上限の影響もあって、あまり複雑に細かく描き込むようなスタイルはやめようと。今のようにシンプルな絵柄になったのはiPadを使うようになってからかもしれないですね。

音楽とともに進化するイラスト表現 三月のパンタシア描くダイスケリチャード インタビュー
https://kai-you.net/article/62809

とあるように、彼自身はあくまで面倒であると言う表現を使うけど、自分の表現を構築していく段階で重要なのは引き算である。何をやるかより、何をやらないかを決めるのが重要な局面が多いと思う。その中で書き込みを減らしていき、顔を描かないと言うスタイルを作り上げたのはまさに慧眼で、それにより生まれた絵は想像を自由に膨らませ、音を鳴らすことに成功していると思う。

最近では個展、グッズ販売、作品集発売と活動の幅を拡げているダイスケリチャードさん。この程度の文章では彼の魅力を語り尽くしたとは言い切れないけれど、片鱗くらいは伝えたいと言う思いのみで描かせて頂きました!次世代を担うに適う絵師さんだと思いますので、皆さんもチェックしてください!!

@daisukerichard
https://daisukerichard444.wixsite.com/daisukerichard

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